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周俊輝 18年 火炭で育んだ創作拠点

周俊輝(しゅうしゅんき / チャウ・チュンファイ)の創作に触れると、往々にして古典映画の一場面や街の共有する記憶が伴う。彼の作品は油彩、写真、インスタレーションなど多彩で、常に香港の風景や社会課題に根ざしている。

多くの人はアートを高雅でロマンチックだと想像する。しかし展示会場の華やかさを離れると、創作の現場は工場ビルの一室で、絶え間ない運搬音や機械音に囲まれていることが少なくない。火炭(フォータン、Fo Tan/香港・沙田区の工業地帯)に拠点を置く多くの作家も同様だ。

周俊輝は火炭に進出してから18年になる。工業地区だった場所が次第に「火炭アートビレッジ」の様相を帯びるなか、彼は創作を通じて地域コミュニティに関わり続けてきた。

本稿は番組企画『藝城遊記』の取材を基に、周俊輝の制作現場と市民的な関与の軌跡を追ったものである。

周俊輝と火炭 18年の歩み

周俊輝のアトリエ外観 火炭の工場ビル内

家族がタクシー業を営んでいた関係で、周俊輝は学生時代から副業でタクシーを運転していた。大学で美術を学びながら運転と制作を両立させた経験が、その後の創作に大きな影響を与えた。

当時を振り返り彼は、タクシーの時間は孤独でありながら街を観察する機会だと語る。街角の断片的な光景が日々の素材となり、やがて制作の基盤になったという。

車窓から撮影した香港の街角の風景 周俊輝の記録写真

街の記憶を描く方法

タクシーでの観察はやがて作品化された。周俊輝は見た風景を写真に撮り、絵画に転用していった。市街地の変貌や生活の断片が、彼の代表作「香港の街道シリーズ」「香港のタクシーシリーズ」を形作った。

他者に「本土的だ」と評されることに抵抗があった時期もあった。しかし生活そのものが香港に根ざしていると悟ると、日常の一場面を描くことが共同の記憶を呼び起こす行為だと受け止めるようになった。

周俊輝の作品 香港の街角を描いた油彩作品

映画を素材にする創作

周俊輝のもう一つの重要なシリーズは映画に由来する。古典的な香港映画の画面を借りて絵画化することで、映像の持つ文脈や観客の記憶を作品に呼び込む試みだ。

代表的な例に『英雄本色』(A Better Tomorrow、1986年)のモチーフがある。彼は映画の台詞や背景を画面に取り込み、観る人が映画の前後関係を知っていることによって、新たな読みが生まれると説明する。

映画を題材にした周俊輝のシリーズ作品」

彼は作品に多層性を仕込み、表面の台詞だけでなく、映画史や色彩の使い方といった深い読みを促す。直接的なメッセージと内面的な表現が同居するのだと述べた。

芸術と制度参加

創作活動と同時に、周俊輝は制度への働きかけも行ってきた。2001年に火炭の工場ビルに入居した当時、工場ビルでの創作は違反扱いになることが多かった。そこで彼は他の創作者とともに「工廈藝術家關注組」を結成し、規制改正を訴えた。

彼らは文化産業も一種の生産活動であると主張した。絵を描くことや音楽制作も「生産」であり、工業の定義を見直す必要があると訴えた。その結果、工場ビルでの創作活動が徐々に認められ、火炭はアートの拠点へと変わっていった。

工場ビルの内部で作業する周俊輝の様子

政治参画は行為としての拡張

2012年、周俊輝は立法会(立法府)の文化界候補として立候補した。本人は当時の出馬を「成功を目指すというより、行為そのものに意味があった」と振り返る。

彼は「創作と政治は共に表現であり、外部環境への応答だ」と語った。創作の婉曲な表現と政治の直接的な表現は相違があるが、どちらも他者への配慮と世界を変えたいという志に根ざしている。

周俊輝のポートレート写真 制作と社会的関与を示す

感性と理性の往復が生む創作

周俊輝は、感情に流されるだけの創作にならないよう工夫してきた。社会的な出来事が圧倒的すぎる時期は、感情が創作を阻むこともあったという。

現在は出来事を率直に画面に記録する方法を選んでいる。観客に解釈の余地を残すことで、作品は再び対話の場になると考えている。

周俊輝の制作風景 画面に社会の断片を落とし込む様子

タクシー運転、創作、政治参画という経験は、彼にとって一貫したテーマを形作った。都市と個、人と社会を往復する視点が、作品に共鳴を与えている。

周俊輝の作品と香港の街並みを対比した写真

創作は作者の生活への応答であり、周俊輝の作品は地域に対する温かな関心を示す。それが本土芸術の重要な断章となっている。

Executive Producer: Angus Mok
Producer: Vicky Wai
Editor: Ruby Yiu
Videography: Anson Chan, Andy Lee
Photography: Anson Chan
Video Editor: Andy Lee
Designer: Edwina Chan
Special Thanks: Chow Chun Fai

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