グッチのクリエイティブディレクター、デムナ・グヴァザリア(Demna Gvasalia)は、タイムズスクエアで2027年早春クルーズコレクション「GucciCore」を発表した。
ショーはニューヨークのタイムズスクエア中心部で行われた。巨大なデジタルスクリーンと看板が舞台装置の一部となり、都市の眩い広告景観を取り込んだ演出で観客を迎えた。
開演前は既製映像と広告映像をつなぎ合わせた映像がスクリーンを占有し、グッチの多面的な世界観を描き出した。映像はGucci Acqua、Gucci Underwear、Gucci Viaggio、Gucci Automobili、Gucci Businesswear、Gucci Time、Gucci Gym、Palazzo Gucci(ホテル)、Gucci Pets、Gucci High Jewelry、Gucci Lifeといったブランド活動やプロダクトラインを重ね合わせた構成であった。


今回の「GucciCore」は、デムナの役割研究法の第四章に位置付けられる作品である。グッチの代表的な要素を再編し、実用性と着回しのしやすさを軸に据えたシリーズとして提示された。



コレクションの特徴と美学
「GucciCore」は、La Famiglia、Generation Gucci、Primaveraといった美学を一つに結実させたシリーズである。グッチのアイコニックなアイテムを核に、精密な裁断のコートやクラシックなトレンチ、ビジネススーツ、シャツ、鉛筆スカートを中心に構成された。
イタリアンの華やかさと現代的なエレガンスを軸に、低腰デニムやショートカットのストリート要素も混在する。1951年から続くWeb織帯は、今回はビスチェ型トップスとして再解釈された。


舞台演出とニューヨークの街並み
ショーはマディソン・アベニューからブルックリン、ソーホー(マンハッタンの地区)、ハーレム、そして5番街へと広がるニューヨークの多様な街並みを想起させる演出で構成された。金融関係者の細ストライプスーツ、ムートンコートをまとう社交界の人物、スケートボードを履いた若者、そしてイブニングドレスのゲストが交錯する群像が提示された。

アクセサリーと仕立ての見どころ
アクセサリーでは、馬術伝統を象徴する馬銜(ホースビット)モチーフがヒールの鐙(あぶみ)デザインとして落とし込まれた。硬質なメタルトゥの細高ヒールとの対比が強調される。
ハンドバッグはダークインクカラーや宝石のような艶を帯びた革で登場し、腕時計型クラッチや幅広のショルダートートは新素材で再構築された。グッチの伝統と現代的解釈が並存する仕上がりである。



背景として、グッチは1953年にニューヨークで初のイタリア国外専門店を開設して以来、この街と深い結びつきを持つ。今回のショーはその歴史的な関係性を参照しつつ、現代の都市生活に適合する衣服群を提示した点が特徴である。
総じて「GucciCore」は、伝統的な象徴を保持しながら日常着としての可用性を強めたコレクションである。デムナの視点から再構築された現代のワードローブが提示されたことで、グッチの次の章を示す作例となった。


