MoN高輪は高輪GATEWAY CITYに開館した叙事を核とする文化施設である。展示、パフォーマンス、音楽、飲食を横断的に結び、従来の美術館とは異なる鑑賞体験を提示する。

「MoN」は英語のMuseum of Narrativesの略であると同時に、「門」と「問」を想起させる命名だ。ここは答えを示す場所ではなく、来館者が自ら理解を紡ぐための入口である。

建築は隈研吾建築都市設計事務所が手がけた。全体は螺旋状に上へ伸びる構成で、階層と空間をつなぐ設計だ。木質の素材感と緑化を通じて周辺環境と溶け込み、内外の境界を和らげている。
MoN高輪の設計と空間構成
設計は地域の歴史文脈に応答している。通路を上るにつれ視点が変化し、光と素材による繊細な変化が連続的な鑑賞リズムを生む。

ロゴは国際的なデザイン事務所Pentagramが制作した。流れる線でM、O、Nを融合させ、建築の形態と呼応する方向性のある視覚表現を作り出している。
素材と色彩の扱い
装飾を削ぎ落とし、線と余白でリズムを設ける意匠だ。配色は赤、緑、青を基調とし、それぞれ太陽、大地、海を連想させる構成である。


設備と鑑賞体験
館内には規模の異なる複数の空間が用意されている。Box1000は約1200人収容の地下ホールで、没入型の音響と舞台設備を備える。
「Box1500」は約1500平方メートルの展示スペースで、大型インスタレーションや映像作品に対応する。小規模の「Box300」は上映や音楽イベントに活用できる。


四階には約200平方メートルの畳空間「Tatami」があり、滞在して鑑賞を深める場として設けられている。館内には図書コーナー、テラス、足湯もあり、来館そのものが体験となる仕掛けだ。

開館初期プログラムと主な展示
開館初季のテーマは「Life as Culture」である。日常の経験を出発点に文化の意味を問い直す企画群だ。
中心的な展示の一つは《ぐるぐる展:不断に進化する人類の物語》である。回転と循環を軸に、宇宙や海、人体のパターンなど多層的に自然と文化のつながりを示す。



全体で9プログラムを用意し、展覧、上演、越境的企画を横断的に展開する。芸術、技術、伝統が交差する構成だ。
「MANGALOGUE:火の鳥」は手塚治虫の代表作を出発点とする企画である。ページをめくる読書のリズムを、空間全体で体験する形式に転換している。

本企画は映画や演劇への単純な翻案を目指さない。『火の鳥』の時間的な視点移動とリズムを忠実に残し、観客が画面の流れに身を任せる体験を作る。

開館記念公演の一つ、バレエ《Aleko》はマルク・シャガールが同名作品のために描いた舞台背景を復元する試みである。83年前の絵画を大型LEDで再現し、舞踊と視覚が交錯する上演となる。
上演は編舞家寶滿直也が構想した。静止した絵画を舞台に戻すことで、過去と現在の記憶が一つの時間軸の中で重なるように見せる。
詳しい展覧・プログラム情報はMoN高輪の公式サイトを参照されたい。


