陳卓賢(ちんたくけん / イアン・チャン)は内向的な性格を早くに自覚したことが、かえって自身の表現に深みを与えたと語る。
番組出演をきっかけにパブリックイメージを築いた陳卓賢は、静かな佇まいを武器にしてきた。内向性を否定せず表現へ昇華する姿勢が周囲から注目されている。
陳卓賢の内向性と舞台
陳卓賢はデビューのきっかけとなった「全民造星」(香港の公開オーディション番組)の頃から、沈黙を基調とした堅実なイメージを築いてきた。だが先輩の一部は、芸能人としてはその性格が不利だと指摘したという。
一方で本人は左脳的な分析力に長け、批判の動機や目的を順を追って検討する習慣があると明かす。瞬間的に強く思う一方で、自らの客観性を省みる配慮も持つという。
近年話題になった一例として、香港の大物俳優・梁朝偉(りょうちょうい / トニー・レオン)がヴェネツィア国際映画祭で見せた涙が挙がる。陳卓賢はその一瞬を自身の感情表現と重ね合わせつつ、自らの涙は「2046年まで待たなくていいはずだ」と語った。

Side Track の美
ストリーミング利用の定着で聴衆の集中時間は短くなり、25%は再生後5秒で次の曲へ移るという調査もある。結果として「シングル主導」の音楽環境が強まり、アルバム内のside trackが埋もれやすくなった。

陳卓賢は「一枚のアルバムの魅力は、side trackの存在にある」と断言する。毎年少なくとも一曲は新しい音楽性を試したいと述べ、アルバムを物語として統合したい考えを示した。

「C.O.C.」理論と批評への向き合い方
制作面では作曲、作詞、監製へ関与する範囲が広がり、陳卓賢はコントロールできる領域を増やしていると語った。批判に対しては当初は感情的になり眠れなくなることもあったが、対処法を構築したという。

彼が示したのは「Consultation」「Opinion」「Comment」の三分類だ。Consultationは先輩からの助言で全面的に受け入れる。Opinionは友人の客観的な所見として参考にする。Commentは外部からの主観的な言論で、感情的な批判を含むことがあるため慎重に選別するという。
この分類法は読書で学んだものではなく、夜通し自問自答を重ねて編み出した実践的な対処法だと陳卓賢は語った。理論で感情を落ち着ける手法が最も効果的だと自己分析している。

表現と努力の意味
かつて陳卓賢は運動競技で臆さずプレーした。試合では得点掲示板を気にせず、勝敗は次の挑戦で覆せると考えていたという。だが舞台では気持ちが違うと説明する。

陳卓賢は「舞台では緊張を完全には消せない。完璧を目指すあまり自分の欠点を過度に拡大してしまう」と語る。運動は反復練習で技術が身体に染みつくが、演技や歌はそう単純ではないという見解だ。

彼は作品と受け手の関係も重視する。どれだけメッセージが強くても、受け手が興味を持たなければ意味がないと述べた。良い曲と受容性のバランスが重要だという信念を示した。

放棄から学んだこと
堅持の代償として自らを苦しめることもあると陳卓賢は語る。若い頃、母が出したピアノの授業料を無駄にしてしまい、古典ピアノの学習を途中でやめた経験が後悔として残っているという。

放棄は容易ではないが、もし能力の限界が見え、かつ別の道があるなら考慮する、と彼は述べた。陳卓賢は「放棄ではなく、堅持の理念を別の領域へ移す」と説明した。
Photography: Matt Hui
Art Direction: Mimi Kong & Matt Hui
Styling: Mimi Kong assisted by Blaire Lo
Videography: Kason Tam & Alvin Kong
Video Edit: Kason Tam & Alvin Kong
Interview: Avis Lee
Makeup: Rainbow Chung @Annie G. Chan Makeup Centre
Hair: Him Ng @The Attic
Wardrobe: Christian Louboutin, Louis Vuitton, Fendi, Givenchy, Balenciaga, WilsonKaki


